香りと花火って似ていると思います。
わーっと現れて、すーっと消えていく、あの感じ。
決して明確でないけれど、
思わず振り返ってしまうくらい印象は刻まれる。
花火の美しい瞬間を永遠に残そうと
人々は写真を撮ります。
でも、けっきょく
うまく写すのって難しいので、
自分の記憶のフィルターを通して
「素敵だったね」と楽しむことが多いかもしれません。
香りも永遠に残したいほど素敵なものに出会うことがありますが
残念ながら、香りは消えるものです。
世にある香水は、
その「残したい」思いの反映で 香りを定着するための成分を入れています。だから、まあまあ香りがもってしまう。
しかし個人的には、香りは消えたり変化するほうが
とても魅力的だと感じています。
消えない香りはいつまでもそれを楽しめますが、
「ああ、終わっちゃった」 という寂しい感じは味わえません。
技術が取り去ったいろいろがありますが、
香水もその一つではないかと。
いいか悪いか、ということではなく
残すことがすべてでない。ということ。
美しい花火を見上げて、
「ああ、夏も終わりだね」
という、季節感を味わうように
香りの印象を心に残して生きて行く、というのも
悪くないと思います。
あ。明日は多摩川花火大会。