私が調香を進める時にその香りを音に変換して表現してもらうことがあります。すると他の表現ではわからなかった思いがわかることがあります。そこで、音と香りのことを調べていくと「香階」という言葉に出会ってしまいました。香階とは、香りを音階に見立てた並びのことです。

香りの音階が作られたのは19世紀のヨーロッパで

19世紀にピエスというイギリスの調香師が、彼の著書「The Art of perfumery」の中で 46種類の香料を音程に当てはめて「香階」として発表されました。揮発性の高い香りが高音、持続性の高い香りが低音、というぐあいに並べてあります。これのすごいところは、単純に「香りの高さ」で並べただけでなく、ちゃんと和音で調和するようになっているところです。

調和する音、調和する香り

和音とは複数の音のセット、といえばいいでしょうか。たとえば基本の和音とされる「ドミソ」の音は安定感があるように、同じ和音でも「レソラ」だとすこし不安定とうか、斜めから聞いたような(?)感じがします。不協和音ではなんとなく怪しい雰囲気や居心地が悪い印象になります。香りと音楽はよく似たところがあります。香りの業界の専門用語で使う「ノート」という言葉。これは、「調べ」という意味ですもんね。ちなみに調香師の使う調香台は「オルガン」とも言われるそうです。ますます香りと音の関係が深いと感じませんか?

香りの音階は6オクターブ

音に調べがあるように、香りにも調べがあります。ピエスが考案した香階は6オクターブ分の香りが当てはめられています。それらは、天然香料であったり、合成香料であったりしますが、いずれもなんとなく「ああ、そうだな」と思う香りが多いです。ちょっと科学的に説明すると、揮発性の強い香りは高く、揮発性の弱い香りは低く、と並べてあります。たとえば同じ「ド」の音でもオクターブ違うものは香りの高さの印象は違いますが、その音のイメージとはなかなか合っています。不思議ですね。

もしかしたら、日本の文化と西洋の文化の違いがちょっとした違和感を思わせる部分があるかもしれません。和製アロマや薫香で香階を考えて日本の曲を表現するのも面白そうです。

リクトでは不定期ですが香りのワークショップもしております。
(次回は2018年9月16日を予定)
今回は体験することがメインですが、ほかにもブレンドする回もあります。
ご興味のある方は個人レッスンやセッションも受け付けます。お気軽にお問い合わせください。